彼らの給料のしくみは、会社からわずかな固定給(時給5ドルくらい。 ちなみにフロント係は10ドル以上)はもらうが、生活給の大部分はお客から直接もらうチップに頼っている。
レストランのサービス員は、一人ひとり担当する″テーブル区分″がはっきりと決められている。 自分が担当するテーブルについては、オーダー取りから、配膳、会計までをすべて本人が行い、他のサービス員には指一本触れさせない。
責任担当制だから、客の飲食の進行状態も把握しており、次の一品を出すタイミング、飲み物のお代わりを勧める勘もはたらき、そしてお世辞も滑らかである。 また、お客の顔や懐具合を見抜いて、デザートを勧めるなど、融通無碍だ。
サービス員はお客を楽しませる演技者(キャスター)だから、″出演料″をもらうということなのだろう。 日本のホテルでは、料金の10%を一律にサービス料としていただいている。
お金はホテルの金庫のなかに収入金として入り、直接サービス員に還元されることはない。 ちなみに、サービスに定評のあるザ・リッツ・カールトン大阪では、サービス料が13%!なんという自信か。
では、このチップ制や、それが形を変えたサービス料の是非について考えてみよう。 まず一般論からすると、日本の社会にはチップは不向きだろう。
定価販売に慣れているので、チップを払うほうも受け取る従業員も戸惑ってしまうからだ。 しかし、日本が成熟社会に突入した今日、ハレの場としての″社交場″、あるいは″大人の遊び場″という位置づけの高級レストランが早晩出てくる(たとえば、一流ホテルのダイニング・ラウンジなど)。

そこでは、客は豪華な施設、旨い料理とともに、行き届いたサービスを求めるだろう。 専門知識豊かでサービス技能に優れたサービス員が、客が気持ちよくなるように接遇する。
これに満足して、リピーターとして戻ってきた客は、気心の知れた″あのウエーター″を指名するだろう。 「お飲み物は、いつものモノでよろしゅうございますね」と、連れに対してもカッコいいところが見せられる。
日本のホテルの10%のサービス料のルーツは、終戦直後、外貨獲得の大命題から外国人客を大事にする必要があったが、外国人宿泊客がチップを置こうとするとき円とドルの通貨換算などがわずらわしいだろうからと、役所の指導もあってホテル側が一律10%を付加した便宜的なものだった。 それがいつのまにか全国のホテルへと伝播した。
飲食代金を1割アップすることになで、ホテル経営者は喜ぶが、お客や従業員への還元もなく、まったく不思議な制度になってしまっている。 日本のホテルでは、宿泊部門から上がる収入額はホテル全体の収入額の3割前後にとどまる。
しかし、宿泊部門の粗利益率は″7割前後″ときわめて高く、収益性に富んでいる。 ちなみに、飲食部門の粗利益率は概して低く、12割前後である。

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